【初めに】
2023年に日本青年会議所医療部会は60年という歴史的重みを背負う組織として新たな一歩を踏み出しました。そして、2024年には日本では能登半島地震が起こりまだまだたくさんの方々が苦しんでおられる現状であり辛い出来事からのスタートでした。医療従事者の方々の献身のおかげで救われた方々もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
そして医療業界では医療、介護、障害福祉サービスの報酬が同時に改定される「トリプル改定」の年であり少子高齢化や働き方改革などの社会情勢を背景に改定され医療DXの推進が重要なテーマでデジタル化やタスクシフトなどの取り組みを進めてきています。昨年のテーマである「Re:Born」からの流れでさらなる更に革新的な活動を元にいろいろな変化を生み出すかのようにこの節目において、私たちは「伝統と革新の共創」というテーマを掲げ、積み重ねてきた伝統を礎としながら、新時代における医療部会の可能性を追求していく決意を表明いたします。
今年注目されている大きな問題として、2025年問題があります。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要が増加します。 内閣府「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年の高齢者人口は、65~74歳の前期高齢者が1,497万人、75歳以上の後期高齢者が22,180万人になるとされています。人類の歴史において、医療は常に時代とともに進化してきました。そして今、私たちは未曾有の変革期を迎えています。人工知能(AI)による診断支援システムの実用化、グローバル化に伴うインバウンド医療の急速な拡大、そして医療におけるエンターテイメント要素の導入など、医療の形は大きく変容しつつあります。この変化の波を、私たちは恐れることなく、むしろ積極的に受け入れ、新しい価値の創造へとつなげていく必要があります。
【魅力的な医療部会】
医療部会は1964年に設立され、62周年になりました。引き続き医療部会は参加率が低下しており、寂しい状態になっております。各事業への参加率が低下している理由としてはひとえに魅力的ではなく、有益でもないと感じさせてしまっていることだと考えます。
すでに令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症について、感染症法上の位置付けが2類相当から5類感染症に変更されました。大手企業はリモートワークを廃止しているところも増えてきております。企業としては働く方からすると賛否両論あるようですが、私達、医療部会としては活動のしやすい状態になってきておりました。しかしその後医療部会の会員の方々の参加率が戻ってきたかと言われれば変わらず低迷している状態にあります。
それは、参加する目的や意義を伝えきれてないからだと思います。
医療部会の目的は日本青年会議所の基本理念である「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条のもと、より良い社会づくりを目指し、ボランティアや行政改革等の社会的課題に積極的に取り組み、日本の医療の正しい発達を計り、更に、青年独自の立場に立って本会会員の従事している事業の向上、発展を目的とする。
これが医療部会の目的になります。これに賛同していただける会員の方が集っていただきやすい環境を作っていく必要があります。そのためにも伝統と革新で今までの良いところを踏まえつつ新しく行っていくことが必要かと思います。
まずは今年一年かけて改めてなかなか参加していただいていない現役会員には連絡をさせていただき、同じ思いで盛り上げてもらえるように伝えていくことが大切だと感じています。特別会員の方々にも同じように連絡をとりながらご参加いただけるかの確認をとるなど、上記の目的に賛同していただける方々、一人一人に地道に声をかけて行くことが大切だと思います。そして、例会などのときの講師講演にも会員の方々が従事している事業の向上や発展のヒントとなるようなテーマとしてAIやインバウンド、エンターテイメントなど今後の日本の医療業界で必要になるであろう内容を提供できるようにし、ご自身の事業と共創してもらえたら有益で魅力的な医療部会になるのではと考えております。
【海外ミッション】
昨年18年目を迎えたカンボジアミッションはチャットモックJCにこの事業を引継ぐ形で一度区切りを作りました。
日本としてもカンボジアを民主化の支援を30年以上にわたって応援してきておりました。昨年は40年近くにわたって実権を握ってきたフン・セン氏が去年、総選挙のあと突然、政権を長男に引き継ぎ、注目を集めました。大きな変化のある一年であったと思います。カンボジアは1998年から2019年までの20年あまりの間の経済成長率は年平均で7.7%で、世界銀行は世界でもっとも経済成長した国の1つにあげており、現在のカンボジアの貧困率も2007年には貧困率は47.8%、2022年には16.6%に減少しております。
そのような背景もありながら今まで先輩方が脈々と受け継いで来ていただいたミッションの功績もあって、このミッションを自走してもらえる状態まで来ておりました。それもあり昨年に事業を引継ぐ形をとったのです。
しかし、今までの先輩方の功績のおかげで、カンボジアJCIの方からカンボジアJCIとして医療部会を設立したいとの案が挙がってきております。実際に先輩方が土台を作って来ていただいて18年もの歳月をかけて築いていただいた信用や信頼があるからこそ、協力を求めていただいているのではと思います。
実際にカンボジアではまだまだ都市部と農村部での経済格差が広がってはいる状態ではあります。国としての課題としても子どもの母親の栄養不良や衛生設備の不足等まだまだ課題はあります。これに対して日本青年会議所医療部会としてまだまだ「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条を大切にして協力できることもあるのではと考えております。
現状先方と打ち合わせ中ですが今年は新しいミッションとしてカンボジアJCIに医療部会を設立していくお手伝いの年になればとも考えております。今までの先輩方の努力や信頼関係の構築がこのような新たな形になったのはまさに伝統と革新の共創がなせる事なのではと思います。この活動も1年でなせるものではないので実際どのように動いていくのかや、どのような協力が可能なのかなどを今年1年で見極めていければと考えております。
【結びに】
2025年大阪では大阪・関西万博も行われます。1995年の「阪神・淡路大震災」から30年、いろいろなイベントや区切りになると思います。医療業界でも冒頭でお伝えした2025年問題などたくさんの出来事が起こるかもしれません。そんな中60年以上もこの医療部会はいろいろなことがある中で歴史と伝統をたくさんの先輩方や協力者の方々が築いて来ていただいたからだと思います。
私は2022年に大阪青年会議所に所属させていただき、医療部会もほぼ入ったときと同じ時から参加させていただいております。私自身は医療従事者ではないですが医療業界に携わらせていただいておるものとして、人が健康的に生活し自分が実現したいことや思いを形にするために、QOLを向上させていくためには医療は必要不可欠だと考えております。更に治療から予防に進んでいっている世の中で人が人らしい生活をしながら生きていくことに対して医療は必要不可欠である、それを推進していくことが日本青年会議所医療部会の目的の一つではないかと考えております。
1年でできることなど限られておりますがこのタイミングだからこそできることがあると思いますし、過去と未来を繋げるために現在があると思います。この1年、伝統と革新の共創を形にするには現役、先輩関係なくお力をお借りしていき、一人でも多くの方がこの日本青年会議所医療部会に参加していて良かった、有益であったと感じてもらえるような状態を作って行ければと考えております。
そのためにも私自身も日本青年会議所医療部会の存在目的を忘れることなく皆様に機会の提供ができるように邁進してまいりますのでこの1年よろしくお願いします。

2025年度 日本青年会議所医療部会
第62代 部会長 平野拓也