JCI日本青年会議所医療部会

部会長所信


【はじめに】

 医療に携わり、人生に関わる喜びを知った。日々、人生という物語をより輝くものにしたいと思う。多くの場合、少しの彩りを添えられる程度で、私の力が及ばないところで人は生き死んでいく。しかし、それは私の力不足ではないのか、よりよい物語を紡ぐ術があったのではないのか。長く医療の現場に身を置く中で、非日常への関わりに鈍感になりたくはない。その人の物語が一つの区切りを迎える、いわゆる命が終わる時をいつまでも美しいと感じていたい。私自身、青臭いとも感じる想いで、目の前にある医療にのみ生きてきた。
 2016年、地域に関わる一歩として一般社団法人津山青年会議所に入会し、先輩諸氏の導きがあり、時を同じく日本青年会議所医療部会に入会した。LOMで共に活動する友の積極的な誘いもありカンボジア医療ミッションに参加し、志を同じくするものが力を合わせれば大きな運動に繋がることを体感した。JCIカンボジアのチャットモックJCのメンバーを初めとする現地の多くの仲間たちも同じ志をもち、内にある情熱は印象的なほどに強く、驚いた。戦後の日本を支えた先輩諸氏がそうであったように、国を想い、国の医療の発展を願い生きている。今、私は彼らのように国を想い、国の医療の行く末と真剣に向き合えているだろうか。これからも目の前の医療を愛し生きる、一医療人ではある。しかし、その中でも日本青年会議所医療部会という歴史・伝統をもつ団体に身を置くことで、より多様な視点から医療をとらえること、その在り方について考え働きかけられること、そして何よりいつまでも情熱を持つことの大切さを、今まさに学んでいる。そんな学び途上の私が、運命的な幸運に恵まれ、日本青年会議所医療部会第56代部会長という大役を仰せつかった。
 第18回東京オリンピックが開催された1964年、青年としての英知と勇気と情熱をもって日本の医療の正しい発展を担うべく設立された日本青年会議所医療部会。現在、正会員48名、特別会員600名を越す大きな組織となり、その歴史の中ではASPAC褒章やJCI褒章にも数多く輝くなど、素晴らしい運動・活動を展開してきた。昨年は、創立55周年という一つの節目を迎え、彬子女王殿下のご臨席を賜り、多くのご来賓を迎え、盛大に創立55周年記念式典が執り行われた。そして2019年、医療部会は新たな歩みを始める。本年は平成という時代が終わり新たな時代を迎える変化の年でもある。時代の変化、その躍動感に満ちたこの年、多くの出会い・学び・感動が得られる素晴らしい団体である医療部会が志を同じくするものの情熱に満ちた、いやそれ以上にお互いを熱狂的に高めあえる「情熱の坩堝」として更なる発展を遂げる。私はその力となりたい。

【情熱の学び】

 2015年9月に国連サミットで採択されたSDGsは発展途上国のみならず、日本の医療・介護・福祉においても積極的に取り組む必要がある。たとえば、医療部会設立当初の高度経済成長、人口増加の時代は終わり、日本は今、世界に類を見ない超高齢社会、多死社会を迎えている。2017年経済協力開発機構(OECD)の発表では、対GDP医療費はアメリカ、スイス、ドイツ、フランス、スウェーデンに次いで6位である。OECDが医療費の範疇を、介護の費用のほとんどを含めるものに変えたこともあるが、2008年の同発表の20位から約10年で大幅に順位を上げた。1961年に確立された国民皆保険制度、2000年に導入された介護保険制度をどのように改革していくのか、人口構造の劇的な変化の中においても持続可能な医療のあり方を探し続けなければならない。また、我々医療部会がこれまでに行ってきた運動・活動はその目的がSDGsに一致するものが多くある。改めてSDGsに着目することで医療の分野のみならず、貧困・教育・ジェンダーなど様々な項目を学び、運動・活動に活用できると考える。医師、歯科医師、薬剤師、看護師などの医療従事者のみならず、医療に関心をもつ多職種が参加する医療部会であるからこそ導き出せるものがあると考える。そのためには、我々は常に情熱をもって学び続けなければならない。知識と経験に満ちた先輩諸氏のアドバイスをいただき、正副常任会議を中心にメンバー間での議論を重ね、学びの多い例会や事業を企画、実現する。

【情熱の絆】

 我々医療部会は韓国、ロシア、ベトナム、インド、ギニア、ネパール、ミャンマー、カンボジアなど、様々な国で医療ミッションを行ってきた。2003年から始まったカンボジア医療ミッションは、本年度15回目を迎える。2012年JCIカンボジアのチャットモックJCとの友好条約締結を経て、そのパートナーシップは非常に親密で強固なものになっており、チャットモックJCのミッションへの関わりは主体性を十分に備えつつある。本年度は、初の試みとしてミッションの主催をチャットモックJCに移管し、その共催の立場で力を尽くしたい。現地LOM、カンボジア国民による医療ミッション、それは先輩諸氏が築き上げてこられたものが将来に向けての継続性を確立する非常に重要なものであり、現役メンバーが一丸となり情熱をもって取り組まなければならない。  
 また、昨年度からは交流会という形で継続している復興支援事業から、我々は多くのことを学んできた。昨今、日本列島は数多くの自然災害に見舞われ、全国に被災地が同時多発的に発生している。自らが住まう地域がいつ被災地になっても不思議ではない状況にある中、復興支援事業での学びを各被災地への支援に有効に活用するためにも、医療部会としての活動指針を構築する必要があると考える。

【情熱の発信】

 我々医療部会の素晴らしい運動・活動をソーシャルメディアなど様々なツールを用いて、メンバー全体が共有するだけでなく部会を越えて対外的に広く発信していくべきである。またサマーコンファレンスや業種別部会連絡会議を活用し、部会に所属しない多くのJAYCEEにも我々の運動・活動を紹介したい。それは、医療部会の価値を世の中に周知するだけでなく、我々の取り組む医療を介した明るい豊かな社会の創造そのものを推し進める力となると考える。

【情熱の輪】

 医療部会はさらに発展していくべき団体であり、一人でも多くの新たな情熱をもつメンバーを輪に加える必要がある。我々の運動・活動は誇るべきものであり、多くの出会い・学び・感動を得ることができる。より多くの人に自信をもって運動・活動を伝え、医療部会メンバーとして描く夢を熱く語ろう。医療部会メンバー全員が会員拡大に関心を持ち、能動的に会員拡大に取り組み、情熱の輪を拡げていかなければならない。

【最後に】

 医療部会において、様々な人に出会い、多くの人に支えられ、情熱を持ち生きることの素晴らしさを改めて感じています。多くの想いを述べましたが、基本方針の実現にはメンバーの力が不可欠です。本年度の運動・活動を通じてメンバー全員が、医療部会が医療を通じて明るい豊かな社会の実現をめざす「情熱の坩堝」と感じられたなら、これ以上の幸せはありません。

 
石川 久

2019年度 日本青年会議所医療部会
第56代部会長 石川 久